さだまさし考

月曜日, 11月 7th, 2005

 先日,必要に迫られてさだまさしを聞いた.目当ては関白宣言だったのだが,ちょうどベスト版が出ていたのでそれを聞いてみた.
 さだまさしをまともに聞いたことは,考えれば一度もなかった.曲の一部は当然知っているし,有る程度の曲数も知っている.でも,イヤホンで1曲(この場合は1アルバムか)まるっとじっくり聞いたことはこれまでなかった.
 いやー,これほど破壊力があるとは思わなかった.深夜にひとりイヤホンを耳にさして台所で泣いている姿は誰にも見られたくないものである.
 曲によって,破壊力が違う.ちなが一番ぐっときたのは,関白失脚である.その次は親父のいちばん長い日,そして関白宣言となるだろうか.でも秋桜とかはあまりぐっとはこず(曲順が関白失脚の直後だからかもしれないが).
 関白失脚といえば,関白宣言のパロディーと思われている.たしかに前半はそうだ.しかし,後半の,生ゴミ以降は,はっきり言って涙無しに聞くことは出来ない.君たちの幸せのためなら死んでも良いというあたりがピークで,がんばれ,のあたりで少し落ち着く.でもこのアルバムに入っているのはライブ版なので,観客ががんばれーと言ってくれるのを聞いてまた少し泣きたくなる.
 親父のほうはもっとすごい.ここに書くとネタばれっぽくなるのであまり書かないが,これはライブ版であるとだけ言っておこう.これについては,amazonの書評にも同じことが書いてあった.
 こんなに良い曲を提供し続けるさだまさし.あまり相応の評価を得ているとは言い難い(同僚評).ちなみに,相方によると,彼の曲は「ずるい」んだそうだ.関白宣言にせよ,失脚にせよ,男が先に死ぬことがずるいと言っている.まあ関白宣言の「俺より先に逝ってはいけない」というのはまあいいとして,関白失脚の「君たちの幸せのためなら死んでも良い」というのはあり得ないというのだ.だって死んだら幸せじゃないじゃんって.そりゃそうだけど,これは言葉のあやというやつではないのか?そして男ってみんなそういう感覚を多かれ少なかれ持ってると思うんだけどなぁ.

B00007KKVT さだまさし ベストデビュー30周年記念リマスター盤
さだまさし 渡辺俊幸 福田郁次郎
フォア・レコード 2003-01-22

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