オー・マイ・シスター

日曜日, 9月 10th, 2006

<前回のあらすじ>
秋葉原のメイドカフェに行こうとしたけど,絵のお姉さんにつかまり,貴重な時間を無駄にする.


・・・
 さてさて,画商を出たのはすでに午後1時を回った時間であった.お腹もすいたし,それよりもなによりもメイドカフェで過ごす時間が減ってしまったのがとても残念である.とりあえず適当に歩けば何かあるかもしれないと思ったが,ここでふと先ほどもらったチラシのことを思い出す.
 「おにいちゃんおねえちゃんお帰りなさい!」という台詞が頭の中にこだまする.
 やっぱりここにいかねばなるまい.情報収集している暇はないのだ.というわけで,チラシの地図を,はずかしいのでこっそり見ながら目的地へ.ところが,どうも様子が変だ.周りは工場っぽいところだし,人がそもそも歩いていないし.でも一応「Key Coffee」の看板は出ているなぁ.
↓現場の写真
keycoffe.jpg
 とにかく入ってみよう.うん.かなり緊張したが,ドアをぎいと開けて中に入ってみた.すると,ドアの前には二人の店員が立っており,「いらっしゃいませ,なんとかかんとか・・・(聞き取り不能)」と一人がちなに話しかけてきた.もっと明るく「お帰りなさい」とくるかと思っていたのだが,その期待とはかなり違ったこと,そして何よりも店の雰囲気がなんだか「いもうと」っぽくないことにかなり動揺しており,店員が何を言っているのか聞き取れなかったのだ.それ以上に,「キミたちはいわゆる『イモウト』というやつなのか?」と問いかけたくなる見かけの店員たち.このときのちなは,端から見るとかなり怪しい動きをしていたはずだ.
 気を取り直して,現実に戻る.店員は,喫煙席にするか禁煙席に座るか聞いてきた.とりあえず喫煙席をお願いする.まわりには客は一人もいない.壁を見ると,「ドンペリを入れてくれたお客様には,シスターたちがゴスペルソングをサービス」などと書かれている.案内された席に座り,メニューをもらう.メニューは至って普通.あまり高いものもどうかと思い,定番のオムライスを頼むことにした.
 そしてここでひらめいた.ここには「いもうと」は存在しないのではないか?そして五感をフル活用?して考えてみた.そうだ,シスターというのはいわゆる「聖職者」のことじゃなかろうか?そうだ,服を見てもそうだし,ゴスペルなんて教会で歌うものだ.あわててチラシを見る.十字架だ.十字架を首からさげた「いもうと」がいる・・・・
↓これがチラシ
sisterscafeweb.jpg
 ちなは完全に間違えていたのだ・・・シスター違いだったのだ.ああ,なんということか.しかしここで動揺してはいけない.ちょっと落ち着くためにたばこを取り出した.するとシスターの内の一人がすっと寄ってきて,マッチで火を付けてくれた.ちょっとうれしかったが,マッチのすり方が心許ない.なんどか失敗してたし.
 ここは地下にも部屋があるようで,そこは禁煙室になっている様子.そこから親子連れとおぼしき若い女性と中年の女性が出てきた.自分以外に客がいたことに安堵する.しかし喫煙室は,厨房のすぐ横にあり,そこではシスターたちが待機しているのでとても居心地が悪い.しかも彼らは普通に会話を交わしている.これじゃあただのコスプレ喫茶じゃん.次第に「メイドカフェ」というものに対するあこがれが消えていくのがわかった.
 ところで,出てきたオムライスだが,何の変哲もない普通のオムライスだった.ケチャップで十字架でも書いてあればおもしろかったのに.結局ちなはシスターと厨房にいる兄ちゃんとの会話をBGMにしながら,黙々とオムライスを平らげたのであった.そして食後の一服もせず,いそいそと店を出てしまった.
 こうして,ちなのメイドカフェ(じゃないけど)初体験は,ほろ苦い思い出となったのであった.よく考えれば最初にチラシをもらったときに,着ている服に気づくべきだったのかもしれない.
↓こんな格好の子がチラシを配っていた.
systerateki.jpg
 ちなみに,今回行ったのは「セントグレースコート」というカフェである.みなさんも一度行ってみてはいかがだろうか.